【2020年最新】IMAX(フィルム、カメラ等)の技術面について

 

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※はじめに、この記事は同じく熱心なIMAXファンとの情報共有やIMAX社の問い合わせ、そして過去にIMAXカメラを所持・撮影経験のある荒木泰晴 氏の協力の元、編集しています。

 

さて今回も懲りずにIMAXのことについて改めて調べている最中、既に他のサイトでの情報が現在も正しいのかをふと頭によぎったため、IMAX(特にフィルム)について詳しく知っている方に聞くことにしました。快く質問に受け入れていただいた荒木様には感謝いたします。

 荒木泰晴(あらき・やすはる)
1948年9月30日生まれ。1970年、東京綜合写真専門学校報道写真科卒業。同年、日本シネセル株式会社撮影部入社。1983年、つくば国際科学技術博覧会のためにプロデューサー就任。以来、大型特殊映像の制作に従事。1990年、超高感度フィルムとビスタビジョンカメラによって、世界初の色彩豊かで高精細の「オーロラ」撮影。唯一、個人でIMAXカメラを所有し、各イベントで展示されたこともあり。

一部引用元:https://www.pronews.jp/special/20190130101138.html

 

 

入りは簡潔にいきましょう。IMAXは一言で表すと規格です。Image Maximumとよく呼ばれますが、荒木氏によると、語源はEye Maximumと聞いたことがあるとのこと。

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テーマパークでUSJバックトゥーザフューチャー・ザ・ライドや、TDLのソアリンを乗ったことがあるならわかりやすいですが、あの映像体験アトラクションはIMAXのシステムです。ご存知でしたか?意外とIMAXを知らなくても、実はそれを体験していたということがあります。そう思うと、IMAXって凄い映像体験なんだっていうことがわかりますね

(※ソアリンはIMAXレーザーGTシステムです)

それ以外にも、科学館や水族館のドキュメンタリー映像としても使われていて、国内25箇所にIMAX(フィルム)シアターが建てられました。現在は鹿児島市立科学館のオムニマックスのみ。

 

 

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IMAXの歴史

IMAXといっても種類があります。フィルム、デジタル、レーザーで、1970年からあります。デジタルとレーザーは今回割愛しまして、フィルムを説明します。

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フィルム

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35mmと15/70mm 『インターステラー』より

これは私が持っているIMAXフィルムです。多用されている35mmと比べると使用面積で言うと約8倍以上の大きさ。フィルムでは、解像度という概念はありませんが、ここで35mmが4K相当ならIMAX 70mmはどの程度なのか。35mmは横が21.95mmで4K相当(3840)なのでIMAXは横が70mmで約12K(12246)相当という事になります。

(ディズニーランドのソアリンは昔はフィルムでしたが今はレーザーGTになっているので勘違いしないでね)

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35mmの横を4Kとした場合

ただ、35mmとIMAXではアスペクト比が変わるので、35mmをIMAXのサイズに合わせるとIMAXの方が余剰面責が生まれます。この余剰分を12Kに含めると14K〜16K程度になります。この辺りは厳密に計算する必要がありますが。ちなみに、よくIMAXカメラで撮影したという記事には"超高解像度"と表記されやすいです。

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赤い部分が余剰面積(イメージ)

上映用のフィルムに至るまでの工程がいつくかあるため、現在の技術においては最終的には"IMAX70mmを投影した映像"は8K〜というのが有力です。(アメリカでは既に16Kスキャンはできますが、プロジェクターが対応できるまではまだまだ年月がかかるでしょう)

 


さて、アップしてみましょうか。

赤丸をズームします。

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高画質の画像でもアップするとこの通り。

IMAX70mmを15倍マクロレンズセルフカメラで直撮り↓

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ベインもいっちゃいますか。

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IMAX70mm ↓

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顕微鏡を用いてIMAX70mmを撮影

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倍率上げたもの

 

このコマは別段、顔をアップしたものではないですが、この程度でもここまでハッキリと映ります。この細かさによって巨大なスクリーンに投影しても全く問題ないんですね。
これほどの情報量があることで、巨大なスクリーンに投影しても全く破綻することなく、むしろ圧倒される映像になります。ネガフィルムの面積の30万倍がクリアに鑑賞できる限界なので、35mmではMAX幅12m、IMAXではMAX幅35m程度です。

そのため、旧シドニーIMAXシアターの横幅35.73mは理論的に言うとMAXに近かったのでしょう。2020年か21年にオープンするドイツのIMAXシアターでは横幅38m〜40mとの噂ですが、IMAXレーザーGT(4K)なので映像は結構荒くなりそうなんじゃないかと予想しております。

 

スクリーンf:id:v6stage:20200511225825p:plain

さて、スクリーンの話も出たのでそれも説明します。IMAX(フィルム)の標準的な大きさ、20×16mで推算してみると、320㎡、ホワイトサウンドスクリーンとすると、㎡=10,000円で、320万円。加工費、工事費を倍とすると、640万円。アイマックス特注で、トータル1000万円というところでしょうか。

ちなみに、109シネマズエキスポシティIMAXシアターでも導入費用は大きかったらしく、工事費等全て合わせて一般的なシネコンのメインシアターの約10倍かかっています。シドニーIMAXシアターが2012年にスクリーンを新しくする際、IMAX最高経営責任者であるMark Bretherton氏は、25万ドルのスクリーンとその特殊塗料はカナダから輸入されたと語ったみたいです。僕がシドニーに行ったときは割と新しい方だったってことですね。シミみたいなのはありましたが(汗)

そして、スクリーン単体で工事することはなく、映写機、音響設備、劇場内装(IMAX仕様)など、総合的な予算が必要です。1990年代が日本のフィルムアイマックスの全盛期でした。と同時にバブル絶頂期でしたから、自治体も数億円の支出は問題にしていなかったようです。シドニーも1995年に開業しております。

また、平面のIMAXの他に、オムニマックス(アイマックスドームに改称)、スクリーン素材はアルミパンチングメタル。秒速48コマのIMAX HD、IMAX 3D、スクリーン素材は金属粉を塗ったシルバースクリーン、が開発されましたが、バブルとフィルム時代の終焉が続いて到来したために、デジタル化されたIMAXが一般的になったのはご承知の通りです。

2025年の大阪万博で、超大型のフィルムアイマックスが復活したとしても、人気パビリオンになるでしょう。

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IMAXカメラ(MSM 9801)

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こちらは1994年にMartin S. Mueller(MSM社)によって製作された、現役バリバリのIMAX 65mmカメラ(MSM 9801)。日本シネセル株式会社が所有していた1台。

はじめに、このカメラとは違ってヤン・ヤコブソンが開発した70年代の旧型IMAXカメラは何十台も作られて、現在もマックギリブリープロダクションが所有しているほか、IMAX社も50台程運用しています。IMAX社以外はキープするだけで大変で、レンタル需要と見合わないようです。『ダークナイト』や『インターステラー』でも一部の機材が使用されていました。

MSMでは旧型から進化し、非常にコンパクトなフィルムムーブメントと、パーフォレーションアジャスト機能、空気吸引密着型フィルムゲートを備えています。ガレージファクトリーで作られたこのMSM9801は全部で6台しか製造されていません。世界に4台しかないといろんなサイトで載っていますが違います。荒木氏によると、借りていては制作コストに合わないので、IMAXカメラを購入したとのこと。購入後、間もなく残り5台をIMAX社がMSM社ごと買収したので、自由に使えるMSM型のIMAXカメラを持っていたのは、世界中で日本シネセルだけでした。ただし、IMAX社が5台中、諸事情により3台壊したり水没したりとなってしまったので、レンタル用に欲しかったのでしょう。ハリウッドではIMAXで撮影することがブームになっているようですが、日本の需要は皆無です。『シン・ゴジラ』で特技監督だった樋口真嗣監督もかなりのIMAX好きですが、IMAXカメラまでは至りませんでした。荒木氏の9801は購入した翌年の1995年に引き渡しされ、アメリカでテスト撮影などをされました。動画の通り、動作による騒音が激しいため、同時録音でも、野外ロケはノイズが多い環境ですから、荒木氏の作品もガイドになる音声を別に録音しておいて、それに合わせてアフレコした様です。

フィルムカメラの同時録音ができるようになったのは、最近のことみたいです。ハリウッドでも、ミッチェルカメラを巨大な防音ブリンプに入れて、スタジオで使っていましたから、使い勝手の良いシステムではなく、アフレコが普通だったとこのこと。ようやくアリフレックス35BL(ブリンプレス)が発表されて同時録音が普及しました。が、IMAXカメラ用のブリンプがある、との情報はありません。あったとしても完全にノイズを遮断できるようなブリンプは巨大なものになり、持ち運べるような大きさにはなりません。ノーラン監督のメイキングでもIMAXカメラ丸裸での撮影が確認できますよね。

↑実際の音は5:45秒から

現在の台数は、誤って破壊された2台の修復は定かではありませんが、水没させられた1台は修理されて復帰していることをホイテ・ヴァン・ホイテマが発言しました。なので、厳密に言うと最低でも4台はあります。IMAXカメラ用のクラッシュ(衝撃)ハウジングを作り、それを飛行機に取り付けて、カメラを衝撃だけでなく塩水からも保護するという考えでしたが、結果的に水没させてからダイバーがカメラを取得する前に1時間半以上水中に沈んでおり、海の深部に沈む強い水圧により保護ハウジングが危険にさらされていました。そこで、取り出したマグを淡水ですすぎ、箱を開けて淡水に沈める前に、暗い部屋で淡水でフィルムを洗浄したとのこと。
奇跡的に、フィルムとカメラは大丈夫になったとのようです。

引用:Christopher Nolan Sank a $500,000 IMAX Camera Making Dunkirk https://movieweb.com/dunkirk-christopher-nolan-drown-imax-camera/

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https://ymcinema.com/2020/03/03/imax-film-cameras-are-back-to-the-game-kodak-business-is-booming/

 

9801と9802の違いは外観だけではなく、内部の電気系統が違うようです。タイムラプス機能が内蔵され、タフになっているそうです。重量は1000フィートのフィルムを含んで25kg程度です。旧型のIMAXカメラは、総重量約40kgで大型で重いカメラです。結局、軽いカメラの需要が多いのでしょう。重ねての説明になりますが、MSMはアイマックス製ではありません。あと、シリアルナンバーはありません。

日本シネセルで作ったフィルムはIMAX社ではなく会社の倉庫で保管しているようなので、 強制的にオリジナルフィルムをIMAX社の倉庫に保管するわけではありません。少し話が逸れますが、メルボルンIMAXシアターもフィルムを置いてますしね。

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レンタル費用

先に言いますと、これには答えが一つとは限りません。IMAX社に問い合わせしました。

これくらいの期間で〇〇円‼︎という一律ではなく、IMAX本社の近くで撮影するか?何日?フィルムロールは何本か?確かなことの1つは、IMAXが高価であることです。でもその前にするべきことがあります。

IMAXカメラは通常、フィルムをIMAXシアターネットワークにリリースするための契約に署名した制作物用に予約されています。 なので、イベントで展示するためにレンタルしたいというのは優先的ではありません。

IMAXカメラをレンタルするプロセスの最初のステップは、詳細なフィルムの提案(撮影する上で参考になる脚本、予算など)を作成し、プロジェクトをIMAXのフィルム配給部門に売り込むことです。そしてそれが通ったら、先程の費用の相談に移ることができます。

 
とのことです。

 
他のサイトでのIMAXカメラに精通した撮影監督のマシューヴィエ氏の発言で「一部の人々は$ 15.000 /1週間と言われている。」との情報が参考になるかもしれません。『TENET』では世界7ヵ国で撮影されているため、『ダンケルク』より費用はかなり掛っているでしょう。(ちなみに製作費は『ダンケルク』より約2倍の2億ドルです。)

しかし、ドキュメンタリー作品もそれはそれで膨大な撮影量やエベレスト登ったり宇宙へ行ったりなので侮れません。
参考: IMAX Filmmaking: What is it like to Shoot on an IMAX Film Camera? - Y.M.、


そして、この65mmフィルムのネガ1000ftの現在の価格は25万円程度に上がっています。数年前は19万円とかでしたが、値上がりしております。
このIMAXカメラを扱うには、多額の費用が掛かることが想像でもわかりましたね。IMAXで使う65mmフィルムは、1000フィートで25万円程度。撮影できる時間は3分間です。一方、16mmの100フィートは5千数百円で、撮影できる時間は2分45秒です。

フィルムはデジタルのように、消してもう一度撮ればよいというものではありません。16mmでも勿論ですが相当の覚悟が必要です。ノーラン監督の『ダークナイト』撮影部隊は撮影開始してすぐにカメラを落としましたがね。

もし、ノーラン監督の撮影に参加できるならそれは大変嬉しいことですが、IMAXカメラを前にすると「絶対失敗できない」と、ちびるでしょう。

そういえば『ミッションインポッシブル』や『トランスフォーマー』はすぐにIMAXデジタルカメラになりましたね。

 

 

最後は僕のIMAXダンボールカメラで締めましょう。世界に一つだけの小道具で最軽量の2kg、耐久性は最悪ですが、我ながら良い出来です。

ありがとうございました。

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