【登場人物】秒速5センチメートル 篠原明里ー神秘化された普通の女の子

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篠原明里(しのはら あかり)

心細かったよね、もう帰ったかと思ってる?帰ってほしいと思ってるかな・・・優しかったもんね。でも私何時間だって待っていられたんだよ。絶対来るって思ってたし、あなたのこと本当に・・・

 

  漫画,小説共に篠原明里が登場するとき、どこか緊張感と鼓動が高鳴ってしまう。物語のメインが遠野貴樹である為、彼女はたまにしか現れずすぐにそのシーンは終わってしまう。その僅かなシーンでも集中して読んで、彼女の顔や身振り、言葉に表れた内部の感情・気分、そして本質を我々は知ろうとする。しかし心の中で発している言葉は最終的に我々の想像でしかできない故に、彼女のミステリアスな婉容に魅了されるのは間違いない。
 
 
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  現実的な世界感で切なすぎる、鬱アニメと言われるほど広く知れ渡った『秒速5センチメートル』ヒロインとして、第1話「桜花抄」を主に登場する篠原明里は、転校を経験している以外は他の普通の男の子と何ら変わらない主人公・遠野貴樹に自然と惹かれていく。ドラマみたいな初見当初から強い印象を受けたわけでも、無理に近づこうとしたわけでもないが、逆にそれが自然にいつの間にか隣にいるようになった篠原明里が、遠野貴樹にとってその物語の中心的な役割をなす重要な存在に成し得る。それは我々読者も自己投影をしてしまい、もう手に届かないあの頃の少女の象徴(シンボル)と化す。
 
 
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待ち合わせの駅へ駆け走る少女
  幼少期から高校生までの、遠野貴樹のことをまだ思い出にしまうことができなかった頃は、彼よりも篠原明里の方が好き度は高かったと思われる。突然の転校に涙がこぼれ、キスも、手紙も彼女からだった。そして第2話「コスモナウト」の時に潜在意識の中で少女が行き纏わり、宛先のないメールを打ち込む遠野貴樹に対し、篠原明里は本文が書けないが宛先(遠野貴樹 様)は書けるという正反対な現象が起きている。気持ちの大きさは昔ほどではないが、名前が書けるというとこは、まだ”そういうこと”なのだ。何ともと思っていなかったら、手紙すら書こうとしない。そういう意味では、結婚相手のときは上手に思い出の入れ物にしっかり蓋を閉めれたのだと思う。
 
 
 
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理想の人に出会ってしまった場合、それは幸運なのか、不幸なのか。
  
   理想の人と出会うことなんてなかなかないことだが、これ以上無いくらい自分と波長が合って理想の人と付き合えた場合一体どうなるのか。お爺ちゃんお婆ちゃんの歳まで一緒にいれるならこの上無いことだが、仮に離れ離れになってしまい、別れてしまったら一生忘れられない存在となってしまうだろう。たとえ上手く思い出のタンスにしまえたとしても、夢に出てきたり、街中で後ろ姿がすごく似てる人を見かけた時にフラッシュバックして、あの頃の好きが今あるように溢れ出てくる。篠原明里も同じように遠野貴樹の生きるスピードに追いつきたかったのではないだろうか。彼女は幼少期の頃から頻繁に彼の目を見つめるほど彼のことを心の底から思っていて、なかなか言葉には出さないタイプだが、同じように辛かったのではないだろうか。
 

 

 

 

秒速5センチメートル(1) (アフタヌーンKC)

秒速5センチメートル(1) (アフタヌーンKC)

 

 

 

秒速5センチメートル(2) <完> (アフタヌーンKC)

秒速5センチメートル(2) <完> (アフタヌーンKC)